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カウリの木とコーン カウリの枝と種子
場所:ムリワイ
 
カウリの幹と樹脂 カウリの幹、下の白い塊はガム
場所:テムズ、カウリトラック
 

カウリ発見!オークランド
オークランドから車で3時間ほど北西に向かうとワイポウア・フォレスト(Waipoua Forest)と呼ばれる森林公園があります。そこに樹齢2000年以上と言われるタネ・マフタ((Tane Mahuta))マオリ語で「森の神」と呼ばれる巨木が静かにたたずんでいます。
まるで縄文杉のようなこの木こそがカウリ(Kauri)です。
実際に2009年に屋久島の縄文杉とタネ・マフタは姉妹木提携をしました。
 
ニュージーランドのカウリ(Kauri)について トップへ 次へ
学 名:アガチス・オーストラリス(Aghatis Australis)
分 類:ナンヨウスギ科(Araucariaceae)ナギモドキ属(Aghatis)
和 名:カウリマツ
特 徴:高さ50メートル、直径4メートル以上に生長する常緑針葉樹で、世界
最大・最長樹齢となる樹木のひとつ。カウリ(アガチス)はニュージーランドのほかに、オーストラリア、インドネシア、マレーシア、フィリピン、フィジーなどに分布していますが、このうち最も大きく生長するものがニュージーランドのカウリで、アガチス・オーストラリス種として区別されています。
生長が遅く、1年で35センチメートル程度しか伸びません。しかし、幹付近は枝がなくまっすぐに伸びることから、節のない美しい木目が珍重され、18世紀末から20世紀前半にかけて家具や建材、また帆船のマストなどとして利用されたため、ほとんどの巨木はこの200年間に伐採されました。
伐採される以前は、ニュージーランド全土で120万ヘクタールのカウリの森林が存在していたと思われますが、現在ではわずかに4000ヘクタールを残すのみとなっています。
オークランド周辺もかつては広大なカウリの森が広がっていましたが、現在カウリが森として残っているのは、ワイタケケレ・フォレスト(Waitakere Forest)や近郊のティティランギ(Titirangi)周辺とアルバニー(Albany)以北の限られた地域です。オークランド市街地や住宅地にもひっそりと残っているカウリがありますが、これらはたとえ自分の所有地内であっても、伐採は認められておらず保護されています。
カウリの巨木が森林として生育しているのは、ノースランド(Northland / 北島の北部)、オークランド周辺とコロマンデル半島に限られています。南島ではカウリはほとんど育たないようですが、ダニーデンなど南島でもカウリの植樹が行われています。
 
樹脂(ガム / コパル)
カウリガム カウリは樹脂(Gum/Copal)を多く含むため、昔は接着剤などに利用されました。また、数万年以上経過したものはコハク(Amber)として工芸品としての価値があります。
1870~1920年頃には、カウリガムは重要な資源としてカイタイア(Kaitaia)やダーガビル(dargaville)周辺で盛んに掘り出されていました。
 
フリマでカウリのまな板販売 スウォンプ・カウリ
ところが今日でも多くのカウリが加工され、土産物や工芸品としてあちこちで販売されていることに気が付くはずです。実はこれらのカウリ製品は、スウォンプ・カウリ(Swamp Kauri)と呼ばれ、約1200~5万年前に泥炭地(Peat Swamp)に埋もれたカウリを掘り出して、利用しているものです。
ちなみに現在木材として利用されているスウォンプ・カウリは、世界最古の「木」ということになります。
 
乱伐と保護の歴史 トップへ 前へ 次へ
1940年カウリカヌー 1000年以上前に、ニュージーランドに最初に住み始めたマオリは、カウリの大木をくりぬいてカヌーを造っていました。
写真のカヌーは、1940年ワイタンギ条約100年を記念し、1本の大きなカウリを切り倒して造られた全長35メートルの巨大なカヌーです。今もワイタンギに展示されています。
ヨーロピアンとしては、1772年フランスの探検家マリオン・ド・フレネ(Marion du Fresne)が、ニュージーランドの北島に広大なカウリの森が広がっていることを発見しました。
 
そして1700年代後半には、カウリは伐採されはじめています。1800年代に入り、海岸付近に生育する高くまっすぐ伸びたカウリの若木は、特にリッカーズ(Rickers)と呼ばれ、帆船のマストやスパーとして多くが伐採されました。
1820年11月、ファンガロア(Whangaroa/Bay Of Islands)から HMSドラムデリー号(HMS Dromedary)によって、初めて98本のカウリの丸太がイギリスへ向けて輸出されました。
1830年代に入ると、カウリは材木だけではなく、樹脂も大量に輸出されるようになり、ノースランドやコロマンデル、オークランドなどに多くに製材所が建てられ伐採が加速しました。
1876年にワイポウア・フォレスト(Waipoua Forests)が政府により買収され、森林保護が始まります。1897年には、最後のカウリ伐採ブームを迎えます。このときすでに75%のカウリの森林が消失していたと言われています。乱伐ブームは1907年にピークを迎え、その後王立森林委員会(Royal Commission on Forestry)によって、1913年に森林保護のための木材売買規格などを整備、1920年林野庁(State Forest Service)が設立されたことで、ようやくカウリの乱伐に歯止めにかかるようになりますが、私有地での伐採は許可されていました。
1940年代には第2次世界大戦のため、船舶建造用にカウリが伐採された時期もありました。
そして1973年を最後にカウリの伐採はようやく終わりを告げました。
現在では盛んに植林もされており少しずつカウリは増えています。
それにしてもパケハ(入植してきたヨーロピアン)たちはホントに良く切ったもんです。 ニュージーランドは一見すると緑が多いので、自然が豊かに残っているように見えますが、実際にはよく見られる牧場の風景も、本来あった森林を伐採して作られたものですから、本当の「自然」とは呼べません。特にカウリの巨木が広がっていたニュージーランド北島においては、古来から残っている森林は、現在では限られたエリアでしか見ることはできません。
ただし限られたエリアであっても、本当に自然が残っている場所はまだたくさんあり、それらはニュージーランドらしい風景を作り出しています。オークランド市内でも住宅街のあちらこちらにリザーブ(Reserve)と呼ばれる景観保護区域があり、その中には100年以上も保護されて残っている自然もありますので、意外と近所で大きなカウリの木を見ることもできます。
 
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Tane Mahuta タネ・マフタ(2003年) 現存しているカウリで最大と言われる、ワイポウア・フォレスト(Waipoua Forest)のタネ・マフタ(Tane Mahuta)。マオリ語で「森の神」と名づけられています。何をもって「最大」かと言うと、カウリの場合は容積です。
タネ・マフタから数キロメートル離れた場所には、直径で最大、また最長樹齢の「森の父」と呼ばれるテ・マツア・ナヘレ(Te Matua Ngahere)があります。
コロマンデル半島には、高さで最大のタイルアNo3(Tairua No3)というカウリがあります。
しかし、タネ・マフタの3倍もの大きさのカウリ、「カイラル」と名づけられた巨木が、かつて君臨していたことも記録には残っていますが、19世紀末山火事で焼失してしまいました。ほとんどが伐採された今では信じられないような大木がたくさんありました。
でかいカウリ達
名 前 高 さ 幹周り 直 径 容 積 推定樹齢 存 否
タネ・マフタ 51.51m 13.77m 4.38m 244.5m3 1500年 現存
テ・マツア・ナヘレ 29.87m 16.41m 5.22m 208.1m3 2000年+ 現存
タイルア No.3 56.3m 9.68m - - - 現存
カイラル - 20.1m - - 4000年+ 1890年代焼失
- - 23.43m 7.45m - - 1850年伐採
 
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